日本における品質管理
医用画像表示モニタの品質管理の重要性の認識は年々高まっています。そのため、世界の各国で受入試験や不変性試験規格が規定され、実施されています。より正確な診断のため、日本国内ではJESRA X-0093が医用画像表示モニタの品質管理ガイドラインとして設けられています。
JESRAX-0093*A-2010より一部転載
本ガイドラインは各国の団体で作成された規格やガイドラインを尊重しながら、国内の医療現場で無理なく運用できるようにまとめた。特に試験方法については、規格書を見なくとも本ガイドラインのみで運用ができるよう、巻末に附属書として示した。また、医用モニタの品質管理の普及を図るため、作成したテストパターンや標準報告書の様式を提供する。
試験方法と基準値
診断に必要な医用モニタの表示能力を保証し安定に保つため、医用モニタは受入試験と不変性試験を実施して履歴を残し、定められた期間保存しなくてはならない
A. 受入試験
機器を設置運用する前に、定められた仕様に適合していることを確認するために行なわれる試験。設置運用後でも特性に影響するような修理・調整や環境条件の変化が有った場合は再度実施される。
B. 不変性試験
使用する機器の特性を許容範囲内に維持・管理することを目的に行なう試験を言う。具体的には、受入試験が済んだ機器の初期特性を定められた項目について採取して基準値とし、一定期間ごとに基準値と比較することによって許容範囲内にあることを確認する。機器を使用するユーザによって実施される。
医用モニタの受入試験と不変性試験
1.事前準備 1.1使用計器
- (1)輝度計
- 望遠型の輝度計を使用して、画面中央部(または指定された部分の中央部)を測定する。密着型の輝度計やその他の輝度センサーを用いて輝度測定を行う場合は、望遠型輝度計と相関を取って運用する。中央部でないところを測定する場合も、同様に中央部と相関をとって運用を行う。
- (2)照度計
- 医用モニタ前面中心部(中心部以外で測定するときは、中心部と相関をとって運用する)の法線方向の照度を照度計または相関を取ったセンサーで測定する。
- (3)色度計
- u’,v’色度単位が測定できる計器であること。指定部分の中央部が測定できれば望遠型であっても、密着型であっても良い。X,y色度単位の測定器を用いる場合はu'=4x÷(-2x+12y+3)、v'=9y÷(-2x+12y+3)の関係式で測定値を変換して運用する。
- (4)基準計器
- 測定用の計器が複数台ある場合は、基準となる計器を定め、他の計器は基準計器と相関を取って運用する。また、基準計器は定められた期間ごとに較正して使用することが望ましい。
- (5)その他の備品
- 拡大鏡を準備する。
1.2テストパターン
使用するテストパターンは下記の5種類となる。実際のテストパターンと観察ポイントを附属書2に示す。各パターンは画面全体に適正なアスペクト比で表示されなければならない。
TG18-QCパターン [SMPTEパターン] TG18-LN01~18パターン TG18-UNL80パターン [全白画面] ----etc